教員の残業代が増える?!「給特法」改正と資産形成と働き方

「教員の残業代が4%から13%へ、引き上げが検討されている」

 2024年8月22日の朝、いつものようにラジオを聴きながら出勤前の散歩をしていると、目の覚める内容のニュースが耳に飛び込んできました。

 いわゆる「給特法」改正のニュースです。「給特法」とは1971年に制定された、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」の略です。教員の仕事の特殊性を鑑みて、基本給の4%をあらかじめ「教職調整額」として上乗せすることなどが定められています。教員に残業代はないため、これが「定額働かせたい放題」と揶揄される所以です。

 それが2026年をめどに、現行の3倍以上となる13%が上乗せされる見通しとなりました。加えて、学級担任や管理職などの負担を考慮して、月給に手当を上乗せする運びとなったようです。やはり教員不足、教員採用試験の倍率低下が背景にあるとされています。

 今回は、現役公立中学校教員である筆者がこのニュースを受けて率直に感じたことと、今後の資産形成と働き方への影響について、個人的に考えたことを書きたいと思います。

 教員の労働環境を取り巻く問題としてたびたび話題にあがる、「労働時間の長さ」や「人手不足」の解消に直結する改定であるかどうかはひとまず置いておきます。13%という数字が適切であるかどうかはわかりません。

 しかし教員として資産形成をしていくと決めた時点で、残業代については飲み込んで働くと、自分に言い聞かせています。その前提に立つと、どんな形であれ給与が増えるということは無条件でうれしいものです。さらに増額される金額が多いか少ないかは置いておいて、「担任」や「管理職」といった役職に配慮がされたということも、「ありがたいこと」だと素直に受け取りたいと思います。

 以前のブログでも紹介しましたが、26歳5年目公立中学校教諭の私の年収は500万円です。それが、2年後の2026年にはいくらになっているかを試算したいと思います。

①号給UPによる昇給:+約20万円(2年分)

 公務員の給与は役職を示す「級」職務経験年数を示す「号給」によって定められています。年功序列の世界ですので、「号給」が上がることで年々昇給する形となっています。1年で4号給上がることが一般的で、月額約8000円×12か月=9,6000円の見込みです。順調にいけば2年後の2026年には、現状の+20万円が予想されます。

②教員調整額4%→13%:+約30万円

 2026年時点の基本給:272,000円 × 13% = 35,360円

2024年時点の基本給:256,000円 × 4%  = 10,240円

1か月分の差額は、月額25,120円×12か月=301,440円となることが予想されます。

現在の年収約500万円 + ① + ② = 約550万円

 ②で分かるように、今後約40年間教員として働き続けたことを想定すると、26歳時点での年収30万円アップは生涯賃金ベースで約1,200万円プラスになったとも言えます。これはかなり大きいですね。

※基本給の増加によって、年2回の賞与額も微増すると予想されますが、今回は計算から省いています。

※計算はあくまで、現在の私が居住する自治体の現在の数字を用いた概算です。自治体によっても異なりますし、さまざまな手当てによってブレが生じることを承知で、参考にしていただければと思います。

 ここまでは、読者の皆様を私の私的な年収計算に付き合わせてしまいました。次は、今回の「給特法」改正のニュースを受けて、今後の資産形成や働き方をどうしていくかについて考えたいと思います。この自己決定をすることが、今回のブログの本題です。

①増加した(するはずの)50万円は、生活防衛費(貯蓄)に充てる

 増えたお金をある分だけ使ってしまったら、資産形成にはなりません。よって生活水準を上げることはしないとここに誓います。これから起こるライフイベントに備えて、生活防衛費を蓄えたいと思っています。本音を言えば投資に充てたいところですが、今は生活防衛費の確保が先決です。

②月の残業時間は35時間以内におさめる

 35時間は相当頑張らないと厳しい…。(2024年7月は残業75時間でした…)しかし、先ほど計算したように約35,000円分の残業代を自分にとって正当な数字にするためには、自分の教員としての労働時間を少なくするほかありません。最低賃金を1,000円と仮定したときに、35時間以内の残業であれば約35,000円分の残業代は、ギリギリ妥当と言えなくもない。環境に文句を言うだけでなく、自分で工夫できるようにならなくては。

 今回の「給特法」改正のニュースは、私たち教員にとって朗報でした。しかし注意したいのは、まだ決定事項ではない「案」の段階であるということです。資産形成の鉄則は、「収入は少なく見積もって計算」「支出は多く見積もって計算」です。実際に口座にお金が振り込まれたのを確認してから、地に足の着いた資産形成をしていきたいと思います。

 もし読者の方の中に私と同じく、公立学校で働く教員の方々がおられましたら、ぜひ参考の一つにしていただければと思います。今週も金曜日を残すのみ!あと1日踏ん張りましょう!

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