学校で「お金」について教わらない理由3選【3分で読める】学校では教わらないお金の話 VOL.0

現役公立中学校社会科教員の<br>ちゃい先生
現役公立中学校社会科教員の
ちゃい先生

このブログでは、日本の学校教育では教わらない「お金」の話を紹介しています。「お金は大切」とみんなが知っていながら、なぜ学校では「お金」について学ぶ機会が少ないのでしょうか?

このブログを読み終えると…

・学校教育で「お金」について学ぶ機会が少ない理由が分かる!

・学校教育に「金融教育」を取り入れるためのヒントが分かる!

現役公立中学校社会科教員の<br>ちゃい先生
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ちゃい先生

学校の先生たちは「学習指導要領」という、ルールブックに沿って教育活動を行っています。ルールブックに沿わない内容を教えることはできません。

 スポーツの世界にもルールがあるように、学校教育も「学習指導要領」というルールに基づいて行われているよ。このルールは日本全国どの地域で教育を受けても、一定の水準が保たれるように設定されている、とても大切なルールなんだ。

 しかし現行の学習指導要領(平成29・30年改訂)では、いわゆる「金融教育」に関わる体系的なカリキュラムが存在しない。ようやく2022年に高等学校・家庭科で「金融教育」の内容が拡充されたことで、少し話題になっていたね。

 「教えたくても、ルールに無いことは教えることができない

 歯がゆいけど、学校で「お金の話」ができない最大の理由はこれなんだ。

【対策案①】「キャリア教育」の一環として、「お金の話」を織り交ぜてみる!

〇人が生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分との関係を見いだしていく連なりや積み重ねが、「キャリア」であるとされています。

〇一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育が「キャリア教育」です。

キャリア教育:文部科学省

 上のように定義されている「キャリア教育」は、学校教育全体を通じて行われるものであると同時に、総合的な学習の時間などを活用して、各学校によって弾力的に活動内容が定められる傾向にあるよ。国語や社会といった教科の学習の中ではなかなかできない「お金の話」も、カリキュラムの中で「社会的・職業的自立」を目指すための活動の一部として位置づけたら、十分学習する機会を設けることができる!

現役公立中学校社会科教員の<br>ちゃい先生
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生徒が抱える生活の背景や、家庭環境はさまざま。「お金の話」をするときは、誤解を生んだり、誰かを傷つける要因にならないように配慮する必要があります。

 「お金の話」に限らず、先生たちは「自分の言葉が誰かを傷つけていないか」ということを考えながら授業やホームルームをしてるよ。そうすると特に「お金の話」は敬遠されがち…。

「うちは貧乏だからあまり聞きたくないな…」

「あいつの家は金持ちだから、〇〇らしいよ」

 こうした言葉が教室での話題になると、いじめや、学校に来づらくなる原因になることもある。「それくらい大丈夫でしょ」と思う人もいるかもしれない。でもそれくらい、いじめや不登校の増加は重大な教育問題なんだ。

 でもお金に対してセンシティブになり過ぎることは、より子どもたちをお金から遠ざけてしまう!

【対策案②】学習指導案を練って、話す内容を精選する

良い例:ワークショップやゲームを通して、消費者の一人としてお金の使い方を考える授業

良くない例:年収が高い職業を調べさせてまとめる授業

 生徒たちに身につけさせたいのは「どんな職業に就くと良いか」という知識ではなく、資本主義社会を経済的に豊かに生きていくための「金融リテラシー」。何の準備もなく「収入」にだけ注目させる授業はとても危険。「この話(学習)を通して生徒がどんなことを学び、感じるか」という見通しさえあれば、むやみに「お金の話」を避けなくても良いはず!

現役公立中学校社会科教員の<br>ちゃい先生
現役公立中学校社会科教員の
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実は、先生たちもお金について詳しくない人が多いと感じています。

 公務員は民間企業とは違い、「利益」を生み出す活動をしているわけではないため、お金の動きや仕組みについて考える機会が少ないということは確か。またありがたいことに景気に左右されることなく、毎月一定の給与を受け取ることができるため、そもそもお金に無頓着な人が多い印象だ。(僕の友人の先生たちや同僚もそんな感じです…。)

 「じゃあお金に詳しく泣いても仕方ないか」

で済ませてしまってはいけない!だってお金とは学校を卒業した後、一生付き合っていかないといけないんだ。先生たちはみんな「生徒に幸せになってほしい」と願って日々頑張っている。僕の個人的な思いだけど、本当に生徒の幸せを願うなら、お金との付き合い方を教えることができる先生でありたい!

【対策案③】先生たちも、校内の研修会で勉強!

 先生たちも日々勉強をしながら教育活動を行っているよ。時には「校内研修」という時間が設けられて、先生たち同士で勉強会をすることもあるんだ。その議題の一つとして「金融教育」の領域を扱ってみてはどうだろうか?

 お金に詳しい先生が校内にいれば教えてもらっても良いだろうし、適任がいなければ外部講師を招いたって良い。「資産形成」という言葉が広く世の中に浸透し始めた今だからこそ、それくらい積極的にお金について学んでも良いんじゃないかと思う!

 ここまでの話で、学校教育で「お金」について学ぶ機会が少ない理由が分かったはずだ。僕自身も学校現場にいて、「お金の話」をすることの難しさを感じる。だからこと「金融教育」が浸透していくにはまだまだ時間がかかるとも感じている。

 しかし教育界全体の大きな潮流が生まれることを待つよりも、草の根からできることを実践していきたい。いつかこのブログも「金融教育を頑張りたい」と思っている、同士の先生たちのもとに届くといいな。

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